特別ワークショップレポート第五弾 岩崎う大先生
第五回目となった「コクーン アクターズ スタジオ」特別ワークショップ。10月2日は、芸人・俳優・演出家・脚本家など、多方面で活躍されている岩崎う大さんを講師に招き、「コメディ」における演技を学びました。
今回のワークショップはCAS受講生に加え、一般からの見学者のほかに体験者も募集しました。体験者がCAS受講生と一緒に指導を受けるのは初めての試みとなり、いつもとは違う緊張感が漂う中、特別ワークショップが始まりました。
今回は、う大先生が過去に上演した公演の台本を使用し、4人のキャラクターを30人の受講生で順繰りに読み合わせをするというもの。個性豊かなキャラクターをそれぞれ、どうプラン立てして演じるのか。受講生たちの力量が試されます。
「同じ役をやってもらうので、どんどんダメ出しが減っていくのが理想です。」と、プレッシャーがかかる!
最初は、受講生が各自考えてきたキャラクタープランで読み合わせを開始。すかさず、う大先生のダメ出しが飛びます。
「なぜ、この登場人物はこのセリフを言っているのか。なぜ、沈黙なのか。台本上の登場人物の言動、行動が役を読み解くヒントになり、アプローチの方法になる。」と、台本から登場人物に迫っていく方法を、自身の演劇論を交えて説明。
「この役は、バランサー。エンジンの回転が速く、場を盛り上げたい人。」
「おとなしい子なんだけど、このシーンはかなり怒っていて、周りの目を気にしていない状態。この子がこの状態になるのは珍しい。」
「エセスピリチュアルだから、スピリチュアルに寄りすぎないでほしい。」など、台詞のニュアンスや登場人物のキャラクターについても丁寧な解説が続きます。
いただいたアドバイスを元に、代わる代わる受講生たちがキャラクターを演じていきます。
演出をしながらも、受講生個人個人の苦手な部分、伸ばした方が良い部分を指摘し、
「個性で勝負できないなら、(芝居が)超絶うまくなるしかない。」
「自分が面白い素材であるということを客観視して、意識して、研究した方がいい。」
など、今日が初顔合わせだとは思えないような、的確なアドバイスがズバリと核心を突きます。
みっちり3時間、受講生たちと対峙してくれたう大先生。
レッスン終了後には「100人組手みたいに僕も必死だったけど、みんな積極的でよい時間だった。自分に言われたことだけではなくて、人がやっている所を見ていても感じることがあったと思うので、持ち帰ってもらえたら嬉しい。」と感想をいただきました。
今回は、“コメディ演技とは”というテーマで特別ワークショップを開催しましたが、コメディを演じる上でのアドバイスを聞くと、「本気で生きてるから面白いというところは外せないと思う。本質的な部分は”リアル”。”リアル”だと人に共感してもらえるし、お笑いはやっぱり共感が大事だと思うから、笑わせようというよりは“リアル”を追求するのが、結果的に面白いということにつながると思う。」と、ご自身のお笑い論も垣間見えました。
「俳優は、引き出しの多さが重要。引き出しを増やすためには、経験とセンサーが大事。演出家が求めている事に対して、引き出しが多いほど柔軟に応じる事が出来るし、時には演出家が求めているもの以上のことが出来る。演出家としては、求めている以上のことが返ってきたとき、楽しいなと思う。」とのこと。CAS受講生、一般参加の見学者・体験者のみなさんも、今回のワークショップで様々な発見があったのではないでしょうか。
(制作・M)
次回のCAS通信もお楽しみに!
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