「コクーン アクターズ スタジオ」松尾スズキ先生 レッスンレポート
コクーン アクターズ スタジオ=CAS(キャス)の日々のレッスン風景を不定期でお届けする「CAS通信」。
今回は松尾スズキ先生のレッスン風景を制作目線でお届けします。
4月某日 レッスン初回
開講式も終え、杉原邦生先生やオクイシュージ先生たちの初回レッスンを経て、ついに松尾スズキ先生のレッスン日。松尾先生から事前に台本の台詞を覚えてくるように指示が出ていたため、レッスン場には入念にセリフと演技プランを確認する受講生の姿が見られ、熱気に満ち溢れていました。今回のレッスン場所はBunkamuraシアターコクーンの舞台上です。
レッスンが開始すると、まずは車座になって「俳優とは何をするか」についてディスカッションが行われました。初の松尾先生のレッスンだからか恐る恐るではありましたが、受講生たちは自分の言葉で俳優業について話していました。
そしてディスカッションの後は早速、事前に配られていた台本を使ったレッスンが始まります。松尾先生は実践重視。レッスン内で稽古を積み重ねるのではなく、毎度異なる台本が配られ発表(本番)を行います。台本は、松尾先生がこれまでに執筆されたものです。
今回の台本は一人芝居で、語り手と2人の登場人物を演じ分けます。名前を呼ばれ前に出るまでは緊張感を纏っていた受講生も、松尾先生の開始の合図が出ると堂々とした演技。しかしテンポよく演じると、人物の演じ分けとテンションの切り替えが難しい様子で、途中で台詞と身体がちぐはぐになってしまう受講生がちらほらいました。台本は2分程度の短いものですが、演技をするときの重要なポイントがたくさん詰まっているのが伝わってきました。短時間で演技を比較ができるからこそ、何が面白い芝居たらしめているのかを考えやすく、演技の重要なポイントに気づきやすいのだと思います。受講生たちは、他のひとの発表から盗めるものがないか目を光らせていました。
台本を使ったレッスンの他に、音楽に合わせて感情とテンションを瞬時に切り替えながらショーを作るトレーニングも実施されました(CAS公式Instagramで見られます!)。笑いから泣き、熱狂から呆然など、真逆の状態に持って行くのは先ほどの一人芝居の演じ分けに通じるものがありました。このトレーニングはグループに分かれて今後も続けるようなので、各グループの変化が楽しみです。
4月某日 レッスン2回目
2回目のレッスンのテーマは三人芝居。登場人物は初回と同じ構成で、語り手と2人の登場人物にそれぞれ配役され8グループに分かれました。今回ももちろん発表があるため、レッスンが始まるまでのわずかな時間で受講生はグループメンバーと演出プランを話し合い、自主稽古をしていました。レッスン場の外にまで届くやる気に満ちた受講生の声量に、松尾先生はとても驚いていました(笑)
本日のレッスンメニューは、初回にも実施した感情とテンションを切り替えるトレーニングと、三人芝居の本読み、自主稽古、そして発表です。
テンションを瞬時に切り替えるトレーニングは「ショーにする」 という課題も与えられていたため、今回は各グループ事前に打ち合わせをしてきた様子。フォーメーションやユニゾンなど、初回と比べて見応えあるものになっていました。
本読みはグループごとに行われました。本読みを受けて松尾先生から、受講生それぞれの長所に焦点をあてつつ、人物像・シチュエーションなどに関する質問やアドバイスがされました。そして30分間の自主稽古。松尾先生の言葉をもとに役へのアプローチを模索しながらミザンスを固めていきます。
発表は三者三様で、各グループ工夫がみられて面白かったです。また、松尾先生のアドバイスがあったからか、動きに迷いがなくなっていたのと、会話の流れに整合性のようなものを感じられるようになった気がしました。演技をするうえで考えておいた方がいいことは色々あるみたいです。
受講生の成長度合い、吸収力はすさまじく、来年3月の発表公演でどのような役者になっているのか今からとても楽しみです。壁にぶち当たることもままあると思いますが、受講生の皆さんは確実に前進しているので、めげずに真摯に、レッスンに挑み続けてほしいです。
(制作・F)
次回のCAS通信もお楽しみに!
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