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ふらりと立ち寄れる“渋谷駅からもっとも近いミニシアター”に。「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」

2023年6月16日(金)、「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」が旧渋谷TOEI跡地にオープンしました。ミニシアターの街・渋谷で30余年培ってきたBunkamuraル・シネマの伝統と、新たな風を吹き込む刺激的なエネルギーを内包するラインナップを携えながら、“渋谷駅からもっとも近いミニシアター”として、これまでの観客はもちろんのこと、ミニシアターを体験したことのない若い世代にも出会うべくスタートさせた旅が、さっそく注目を集めています。


ル・シネマ 渋谷宮下の主役は観客
“シャドウ” カーペットでお出迎え

1Fにチケットカウンターを設けたシアターは、ビルの7Fと9Fに位置しており、エレベーターから足を踏み入れた瞬間に、喧噪を忘れさせる非日常空間へと一気に誘います。
もともとの建物に手を加えずに誕生した「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」ですが、シックで統一感のある美しい内装は、一見、そうとは思えません。手掛けたのは、近年では「川内倫子: M/E 球体の上 無限の連なり」展や「モネー光の中に」展の会場構成、岡田利規作・演出の『未練の幽霊と怪物―「挫波」「敦賀」―』の舞台デザインを手がける、東京藝術大学准教授の建築家、中山英之さんが率いる中山英之建築設計事務所です。空間設計のテーマは「影」。
中山さんは言います。「たとえば映画祭などがあるとき、レッドカーペットがバーンと敷かれるだけで、いつもの街が、全く違った特別な映画の空間になります。その際に、レッドカーペットを歩くのは、スターですが、この『Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下』を歩く主役は、来てくださる観客のみなさんです。映画は光の芸術であり、それを一番際立たせるのは“影”なので、映画を愛しているみなさんを迎える『Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下』のカーペットには、“シャドウ”カーペットが相応しいと考え、こちらを用意しました」と。

ル・シネマには学生時代からよく足を運び、ドゥ マゴ パリでお茶をしていたという中山さん。
大好きな作品のひとつ『花様年華』のポスターの前で。

ここにしかない、こだわりのロビー

ビルそのものの歴史を受け継ぎつつ、ロビーで話している音などが、シアター内部へと影響してしまう恐れのある「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」。しかしここでも“シャドウ”カーペットが、一役買っています。ロビー全体を覆い、お客さんを迎え入れながら、同時に音を吸収する役割を担っているのです。そのため、エレベーターを降りた瞬間、高級ホテルに入ったときのような、スンっと閑静とした世界へと立つことができるのです。
奥に置かれたモニターにも注目です。予告編が流れるモニターを、腰かけて観られる、ちょっとした休憩場所。そこも、通常のモニターを使いながら、ほんの少し、角度のある“シャドウ”カーペットでの囲いを作ることによって、ただモニターを置いたのとは全く違う没入空間が生み出されています。この驚きは、体験していただくしかありません。スタッフ選りすぐりのラインナップの予告編を、十分に堪能してください。
さらに、ロビー内に併設された「ドゥ マゴ パリ プチカフェ」や、アートショップNADiffが「映画好きの本棚」をイメージしてキュレーションしたブックストア、ショップ、受付など、空間全体が、どこか温かみを感じさせます。「ドゥ マゴ パリ プチカフェ」やブックストアは、映画を観ないときでも立ち寄れる場所になっています。お気に入りのスポットのひとつへ。

スタンドカフェの「ドゥ マゴ パリ プチカフェ」では、
一口サイズになった名物のタルト・タタンが楽しめます。
ブックストア「Librairie」のコーナーも7Fと9Fにあります。

駅からのほんの一歩で非日常へ

“シャドウ”カーペットを颯爽と歩き、扉を開けば、いよいよ新たな地で楽しむ「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」の映画空間です。渋谷宮下は2フロアに分かれ、7Fが268席、9Fが187席の計2スクリーン。それぞれに車いすスペースもございます。映写機とスピーカーはBunkamuraル・シネマから移設し、7Fは4Kにも対応するようアップデート。35ミリフィルムの映写機も移設しています。
“渋谷駅からもっとも近いミニシアター”である「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」が建つ、宮益坂下の交差点には大勢の人々が行き来しています。そんな人々がふらりと立ち寄れる映画館になれたら。そんな願いを込めてスタートした旅に、ぜひ参加してください。

文:望月ふみ

〈Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下〉

東京都渋谷区渋谷1-24-12 渋谷東映プラザ 7F&9F(1F:チケットカウンター)
開館時間:10:00
※混雑状況により早まる場合がございます。

「Bunka Essay」では、文化・芸術についてのちょっとした疑問や気になることを取り上げています。


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